還暦おやじの趣味三昧

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「劇場版 鬼平犯科帳」を観てきました

昨日封切られた「劇場版『鬼平犯科帳 決闘』」を見に行ってきました。
今年は作者の池波正太郎さんの生誕100年にあたり、記念作品でもあるようです。
鬼平中村吉右衛門さんのテレビ番組をずっと見ていたのですが、単なるチャンバラはなくて、いつも何かを考えさせられるところがあって好きです。人間って、男って、女って、普段考えている訳はないのですが、ストーリーとさりげない出演者の会話によって考えさせられます。
あと、(時代遅れだとは思いますが)男のロマンとして、鬼平さんのように振る舞えたら、言えたら、考えられたら、どんなにかっこいいいだろうと感じてしまいます。実際は能力も実力も経験も遠く及ばないので、全く違うのですが、やはり憧れます。
平蔵だけではなく、まわりの人物、密偵のおまさ・相模の彦十・大滝の五郎蔵・小房の粂八・伊佐治に妻の久恵、与力・同心の木村忠吾・佐嶋忠介もそれぞれに魅力的で実によく脇を固めている。番組を見ても小説を読んでも設定の妙が感じられます。
ところで、テレビ・映画と小説とでは少し長谷川平蔵像が違うように感じます。小説では、結構危なくなるシーンもあるのですが、テレビ・映画の平蔵はよりスーパーマン的です。例えば、この映画の「決闘」というお話ですが、小説では平蔵一人でおまさを助けるのを躊躇(実際には踏み込みますが)しますが、映画では躊躇しているようには見えません。切りあいのシーンでも、小説ではもう少し佐嶋や酒井らの救援が遅れたら本当に危ない状況に陥っていましたが、映画では安心して平蔵を見ていることが出来ました。
松本幸四郎さんは、叔父である吉右衛門さんの鬼平を随分研究されたようで、言葉の運び方・声色の使い方など、画面を見ないとテレビで見ている鬼平のように感じられました。やさしく語り掛けたり、伝法な口調になったり、まさに鬼平節復活です。
中村ゆりさんのおまさもよかった。梶芽衣子さんで見慣れていたのですが、迫真の演技で目頭の熱くなる場面がしばしばありました。鬼平幸四郎さん)とのやりとりにも、吉右衛門さんと梶芽衣子さんのやり取りと似ているところと、少し違うけどおっと思わせるところがあって、そのバランスも心地よいものでした。
中村ゆりさんという女優さんは、不勉強で余り知らなかったのですが、今後どのような演技をされるのか楽しみです。
火野正平さんの相模の彦十も、あんなに江戸家猫八さんを見ていたにもかかわらず、これもありだなと思わせるところはさすがだと感じました。
ただ仕方がないのですが、テレビではどの俳優さんが誰の役と分かったいるので、そこを考えずにストーリーを追えますが、配役を新たにした劇場版ではそこで「誰だったっけ」と一度頭が止まり、ストーリーから頭が外れる瞬間がありました。
衛星放送でシリーズ化しているので、それを見ている人にとっては何でもないのでしょうが、見ていない者にとっては少しハンディがあったかもしれません。そうは言っても、次の瞬間にはそんなことを忘れさせてくれる娯楽作品になっていて、多くの人に見てもらいた作品でした。
今後のシリーズも見てみたいものです。